生きながらフリッカーに葬られ

Buried Alive In The Bogus


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『GIジョー』『GIジョー バック2リベンジ』 ハヴォック神の恩寵の下

  1. 2013/06/16(日) 00:51:08|
  2. 洋画
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01_3.jpg

玩具会社のハズブロ(=“原作”人形、GIジョーの製作元)が製作に噛んでいる、というのは日本で云うと
ガンダムの新作映画の製作にバンダイが噛む感じでしょうかね。

なにはともあれ、このシリーズは映画に忠誠を誓った作品ではなく、物語に忠誠を誓ったものでもありません。
人物の造形はひどいものです(特に一作目のシエナ・ミラーはラズベリー助演女優賞受賞納得のひどさです)
ひどく拙いかたちでキャラクターの過去のフラッシュバックが入ったりしますが、人物造形がそれで深まるわけも無し
物語も、まぁいってしまえば「ゴールドフィンガー」の焼き直しですよ。人類消滅のカウントダウンをぎりぎりで防ぐ、
特殊な任務を帯びた主人公、という100万回くらい観たようなストーリーです。

それではこの映画シリーズがまったく語るべき所がないかと云えば、そんなこともない。
アメリカ人がこの映画になにを託したかと云えば、それは彼らの理想の身体感覚だったのではないかと思います。
三次元グラフにおける、Z軸への飽くなき羨望が、この映画の画面から滲み出ています。

わたしはこの作品は、物理演算エンジンへの忠誠で作られた作品だと思います。
物理演算エンジンというのはゲームに縁がない人には耳慣れない言葉かも知れません。
ゲーム世界におけるモノの挙動。慣性や重力の影響などを計算し、ベクトルとエネルギーを与えられたモノが
どのように動くかを計算するシステム、それが物理演算エンジンです。
それはときに、「まるで現実のように」重みのある落下や移動を見せるモノの動きを再現することもありますし。
パラメーターをいじれば、現実ではあり得ない大ジャンプやまったく落下しない横移動などを見せることも可能です。

この映画シリーズ中で、ストームシャドーが投げる手裏剣。
あれ、あからさまに現実の重力には反した動きをしていますよね。
イビョンホンは鍛え上げた見事な肉体(それだけがこの映画で唯一の“リアル”と云っていい)を見せますが、
そんな彼が投げたからって、手裏剣がまったく放物線を描かず、得物の喉元に一直線に吸い込まれる、なんて
ことがありえるでしょうか?
あり得るのです。ゲームならば。パラメーターをいじった、HAVOKエンジンの制御の下ならば。
これは現実の重力ではなく、ゲーム内の重力を忠実に描いた、希有な映画です

例えば一作目の加速スーツでの疾走。
続編での切り立った岩肌でのアクション。
観ながら、興奮はするのですが、あのシーンで手に汗握ったという人はいないんじゃないでしょうか。
思わず目を覆い、やう゛ぁい、死んでしまう!なんて叫ぶ人はまずいないと思います。
それがゲームの世界の法則にのっとって動いていることを、観ている側が感じてしまうからです。
ゲームに縁のない人ならば、「なんて現実味の薄い、非現実的な描写だ」と鼻で笑うでしょうし、
ゲームが好きな人ならば、ああ、あれね、で済ませてしまえるものなのです。

代表的な物理演算エンジン、HAVOKの登場が2000年、この映画の一作目が2009年。
9年のあいだに、ゲーム世界での重力は、ゲーム以外のメディアで登場しても違和感なくなってしまったんですね。
HALOで初めて物理演算エンジンに触れて、たまげた身としては感慨深いですねぇ。

今後、現実の重力法則を無視した、ゲーム世界の重力にのっとった世界を描いた映画というのは
ますます増えていくのではないでしょうか。映画好き兼ゲーム好きとしては興味深く見守りたいと思います。


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